風が吹く仕組みの全体像【気象予報士への道】
力学の勉強に突入したということで、ついに風の知識をアップデートできます。苦手な熱力学を先に学習していたため若干のフラストレーションが溜まっていたこともあり、力学に入ってからはモチベーションが段違いに上昇しています。
- 風は等圧線に沿うように吹く。
- 高気圧から時計回りで吹き出し、低気圧に反時計回りで吹き込んでいく。
私が、天気図に風の流れを描く際に意識していた2点です。実際の風の流れを見てもこれに違うことはなかったと記憶していますし、理科の教科書にもこのように載っています。
それでは、なぜ風はそのように吹くのか?(どちらかというと、風がそのように吹くような定義が等圧線や高気圧・低気圧になされたと言った方がいいのかもしれませんが、今の私の理解度では、鶏が先か卵が先か、みたいな話になるので一旦置いておきます。)
なぜ風が吹くのか、という疑問に回答するには、風が吹く影響を与える要因が多すぎて正直まだ必要最低限の知識すらインプットできていません。
なので、風が吹く影響を与える要因を列挙するとしたら。まず初めに挙げられるであろう、気圧傾度力とコリオリ力。
この2つがどういう影響を与えているのか、つまりどのような役割を担っているのか、というところから話をスタートします。
気圧傾度力は風の源になる。コリオリ力は風の方向を変える。
気圧傾度力とは、風が吹く原動力です。そもそもこれがないと風が吹かない。そして、気圧傾度力により吹いている風の方向を変えてしまうのがコリオリ力の働き。
冒頭に挙げた風の2つの特徴は、基本的な説明をするだけなら気圧傾度力とコリオリ力で済ませられます。
気圧の高い方から低い方に向かって働く力。単位距離あたりの気圧差が大きいほど、気圧傾度力は大きくなります。これは天気図において、等圧線の間隔が狭いところでは風が強いということにリンクしていきます。
気圧傾度力により、気圧の高い方から低い方に向かってまっすぐに風が吹きます。しかし、その風は北半球では進行方向から右向きに曲がった方向に、南半球では進行方向から左向きに曲がった方向に吹いていると観測されます。
というのも、地球が自転しているため、まっすぐに吹いている風は曲がっているように見えるのです。この、まっすぐな風を曲げている力がコリオリ力です。「見かけの力」とよばれる仮想の力ではありますが、私たちは動いている物体(今の文脈では地球のこと)の上にいるため、この見かけの力が実在しているものとして扱うことができます。
見かけの力として、身近なものは慣性力だと思いますが、電車を想像してみてください。
電車が駅のホームに入って停車しようとします。すると、電車に乗っている人は慣性力を受けて「おっとっと」となります。しかし、ホームに立って電車を待っている人から見ると、なぜか電車に乗っている人が「おっとっと」となっている。
ホームに立っている人からすると何も力は働いていませんが、電車に乗っている人は確かに力を受けています。これが慣性力です。
この見かけの力というものは、確かにその力を受けている人はいるのに、仮想の力と呼ばれており、矛盾をはらんでいるようにも思えますが、コリオリ力もその一つなのです。
とりあえず、風を考えるときにはコリオリ力を用います、ということです。
そして、コリオリ力により曲げられる方向は、北半球では進行方向に対して右向き、南半球では進行方向に対して左向きになっています。
これは、地球が自転していることによるものなのですが、言葉でいうより見る方が早いです。wikipediaにいい画像があったのでご覧ください。
上の図ではボールがまっすぐ進んでいるように見えます。ところが、下の図ではボールが進行方向に対して右に曲がっているように見えます。
北半球では進行方向に対して右向きに力がかかる
これを地球に置き換えると、上の図は北極点の側から地球を見ている状況です。北極点から見ると地球は反時計回りに自転しています。風はまっすぐ進んでいます。そして、下の図は地球の北半球に立っている人、すなわち私たちの視点から風を見ている状況です。風は進行方向に対して右に曲がっています。
南半球では進行方向に対して左向きに力がかかる
逆に、南極点の側から地球を見ると、地球は時計回りに自転しています。そのため、この図とは反対方向に回転していることになるので、地球の南半球に立っている人から見ると、風は進行方向に対して左に曲がることになります。
日本は北半球にあるので、これ以降は北半球におけるコリオリ力のみ考えます。南半球は左右逆に置き換えればすぐわかるので良しとします。
さて、それでは冒頭に挙げた風の特徴2つを説明していきます。
風は等圧線に沿うように吹く
本日2019年3月24日18時の実況天気図です。こちらを用いて説明します。とはいってもさすがに複雑すぎるので、白い部分を抽出。
気圧傾度力は気圧の高い方から低い方に向かってかかるので、風は水色の線のように、等圧線と直角に交わるように高気圧から低気圧に向かって描けます。
そして、コリオリ力により、進行方向に対して右向きに曲がる。
ということで、等圧線に直角に交わっていた状態から、等圧線に沿うような状態になりました。
高気圧から時計回りで吹き出し、低気圧に反時計回りで吹き込んでいく
さて、コリオリ力によって、風は等圧線に沿って吹くようになりました。ここで一つ意識しておきたいのが、この状態、風が低気圧を左に見ながら吹くようになっている、とも言えることです。
上の画像では、まだ風は低気圧にたどり着けていません。ちゃんと高気圧から出発して低気圧に到着するように線をひいてみましょう。
これまでに得た知識は
この2つです。これらを考えながら高気圧から低気圧まで線を引くと、
こんな感じになります。前の画像からだいぶ変わっているように見えますが、守るべき2点はきちんと抑えてあります。
そして、このとき、高気圧からは反時計回りに出ていって、低気圧に時計回りに入り込んでいく形になっています。