地形から風を考える【三重・津】

地形から風を考える


天気予報で一番気になるのは、いま自分たちがいるところではどのような天気になり、風がどのくらい吹くのか、ということです(それらはまず広範囲の天気を予想してから、狭い範囲に落とし込んで考えていくので、どちらも大事ではある)。

三重県津市を例に、どのような風が吹くのか、地形から考えていきます。

三重県は南北に風が抜けやすい

まず初めに、三重県の地形を整理します。

三重県の地形

(credit : 三重県HP)

奈良県との県境に1200~1600m級の高い山があります。北部や志摩半島にかけても700~1000m級の山が立ち並んでいます。そのため、風は高い山を避けるようにして流れていき、南北に風が抜けやすくなっています。

の観測所は伊勢湾に面した伊勢平野に位置しており、市街地と似た条件の場所にあるといえます。津での観測データが、街の天気と近いものになっていると考えてよさそうです。

それでは、2018年3月の津の気象データ(出典 : 気象庁HP)を見ていきます。

2018年3月の津の気象データ

風が強い日には色を付けています。黄緑が北西の風、緑が南東の風です。見事に青い矢印の通りに風が吹いています。

黄緑の中に「風向:西」の日があるのですが、これは、観測所の西側の山々から平野に向かって風が抜けてきたために西風を観測しているものと考えられます。

風というのは、障害物があったら避けて回り込んでいくのと同様に、流れやすいところ(この場合、伊勢湾になります)を通ろうとします。700m~1000mもの山があるところを通っていくよりも、遮るものがない海を通り抜ける方がずっとスムーズなのです。

そのため、西側の山から平野に向かって風が吹き抜けていったのでしょう。

風が弱い日には他の要因の影響により、風向はばらついています。