地衡風でロマンを感じた【気象予報士への道】

地衡風deロマン
地衡風のCHECK POINT

地衡風気圧傾度力コリオリ力が等しいとき、等圧線と並行に吹く風

空気の挙動()は、空気にかかる力とその大きさによって変化します。そして、それに関した地上付近の風と上空の風を考えるにあたっての違いは、摩擦力の有無です。

地上付近の風は地表面と空気との間で摩擦が発生し、空気が動く方向とは反対の方向に摩擦力が作用します。対して、上空の風は地表面との間で発生する摩擦の影響をほとんど受けないため、摩擦力を無視することができます。

それでは、上空の風を考える際には、空気にかかる力としてどのようなものが挙がってくるのか。

まずは、風の原動力である気圧傾度力。そして、地球が自転していることから生じるコリオリ力

この2つの力が釣り合って吹く風を地衡風といいます。実際の天気図で見てみます。

地衡風

本日2019年3月27日9時の300hPa面の高層天気図です。上空の風ということで高層天気図を用いているのですが、この高層天気図では等圧線の代わりに等高線が引かれています。(参考記事:いろいろな天気図を知ろう)

それでは高気圧と低気圧はどうやって見つければいいの?という話ですが、高度が高い=気圧が高いと考えてよいです。(実質等圧線と解釈してもよいのでは?ということで、私は等高線を等圧線として見ています。果たしてそんなことをしてよいのかはわかりませんが、後々勉強を進めていく中で問題がありそうだったら改めることにします。)なので、上の天気図では、南に高気圧、北に低気圧があることになります。

そのため、気圧傾度力に向かって働きます。コリオリ力は風の進行方向に対して右向きに働きます。つまり、初めは向きに働くことになりますが、これでは気圧傾度力コリオリ力釣り合いません

2つの力が釣り合うのは、互いに反対方向に同じ大きさで働いている時だけです。そして、その2つの力が釣り合っている状態が上の天気図に示してあります。このとき、地衡風は東向き、すなわち等圧線(等高線)と並行に吹いています。

地衡風から見て左手が低圧側

そして、ここで見方を変えてみます。ここまでは天気図を見て考えていました。つまり、上空から地球を俯瞰している状態です。

そこで、地衡風の立場からこの状況を確認。上の天気図より、地衡風から見ると左側に低気圧、右側に高気圧があることがわかります。つまり、風の進行方向に対して左手に低圧側があるということになります。

一応、地衡風は上空で吹く風なのですが、この法則は地上の風においても適用できます。もちろん地衡風のように直角90℃の向きとはなりませんが、進行方向に対して左の方に低気圧の中心があると考えてよいでしょう。

ということは、北風が吹いていたら風はに向かって進んでいるということなので、西側に低気圧の中心があることがわかります。わざわざ天気図を持ち出したりせずとも低気圧の位置がわかるなんて、少しばかりロマン感じます…。

この点についてはもう少しいろいろな場面において考察していけば、現地で風を感じてその後の天気や風を予測することが容易になりそうです。

また、この、進行方向に対して左手に低圧側があるというのは、北半球での話です。コリオリ力によって風の方向が曲げられているのですから当然ですね。

仮に、上の天気図が南半球のものであるとしたら、地衡風は西向きに吹く(等圧線と並行に吹くことには変わりありません)ため、風の進行方向に対して右手に低圧側、左手に高圧側がくることになります。