相当温位【気象予報士への道】

相当温位を知る

昨日に引き続き、温位シリーズです。まずはおさらい。繰り返し大事。

温位:ある高さにある空気を1000hPaまで乾燥断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの

相当温位温位に、空気中に含まれる水蒸気がすべて凝結した時の凝結熱による気温の変化を加えたもの

湿球温位:空気が飽和している高さから1000hPaまで湿潤断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの

そして、今日は相当温位です。

まずは温位を求める

まずは定義にならって、温位を求めます。

上空の空気は20℃、地上の空気は25℃

上空1000mにある空気が20℃、地上にある空気が25℃です。

上空の空気の温位は303K

上空1000mにある空気が地上へ下降すると、

20[℃] + (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 30[℃]

30 + 273 = 303[K]

よって、上空にある空気の温位は303K

続いて、地上にある空気はすでに1000hPaなのでそのまま絶対温度に変換。

25 + 273 = 298[K]

よって、地上にある空気の温位は298K

温位が大きいほど空気の気温が高いので、地上にある空気よりも上空にある空気の方が気温が高いことになります。つまり、このとき大気は安定しています。

水蒸気を凝結させる

さて、温位が求まりました。それでは、それぞれの空気に含まれている水蒸気がすべて凝結したとします。凝結するということは凝結熱が発生します。

熱力学第1法則 ΔQ = ΔW + ΔU より、空気が凝結熱(ΔQ)を受け取ると、空気は圧縮(ΔW)され、気温が上がります(ΔU)。

このときの空気の気温を絶対温度で表したものが相当温位というわけです。

しかし、水蒸気が凝結したことによって気温がどのくらい上がるのかわからないと相当温位は求められません。それを求めるための式がこちらです。

θe(相当温位) = θ(温位) + 2.8 × w(水蒸気の量)

この式から、水蒸気の量が多いほど、気温の上昇も大きいことがわかります。水蒸気の量が多いと凝結する水分子の数が多いので、凝結熱も大きくなることからも、このことが言えます。

それでは計算をしていきます。上空にある空気の水蒸気の量wが5とすると、

303 + (2.8 × 5) = 317[K]

よって、上空にある空気の相当温位は317Kです。

地上にある空気の水蒸気の量wが10とすると、

298 + (2.8 × 10) = 326[K]

よって、地上にある空気の相当温位は326Kです。

相当温位:大きいほどその空気は温暖多湿

先ほど述べたように、水蒸気の量が多いほど相当温位は大きくなります。つまり、湿度が高い。また、空気の気温が高いほど温位は大きくなりますので、相当温位も大きくなります。

ということは、相当温位が大きいほど、空気の


気温が高く、含まれている水蒸気の量も多い。上の計算でいうと、地上にある空気の方が温暖多湿ということになります。