大気が不安定な状態ってどういうこと?【気象予報士への道】
「大気が不安定」というワードをよく耳にします。天気が悪くなりそうというイメージはあるけれど、定義は何なのか。そしてどういった仕組みで天気が悪くなるのか。
まだいまいちピンときていないですが、とりあえず学んだことを整理。
まず、安定・不安定にはいくつか種類があります。
絶対安定:2地点の気温差が湿潤断熱変化によるものより小さい状態
条件付き不安定:2地点の気温差が、乾燥断熱変化によるものよりは小さいが、湿潤断熱変化によるものよりは大きい状態
絶対不安定:2地点の気温差が乾燥断熱変化によるものより大きい状態
簡単に言うと、地上と上空の気温差が大きいほど不安定に近づいていくということです。一つひとつ具体的に考えていきましょう。
(湿潤断熱変化、乾燥断熱変化というのは空気が上昇・下降する際に起こる断熱変化のことです。詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。)
絶対安定:絶対的な安定性をもつ
まずは、地上と上空の気温差が小さい場合を想定します。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は18℃なので、周りの空気より冷たい。冷たい空気は重い。よって、上昇してきた空気は下降します。
湿潤断熱変化をした場合も同様です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらも周りの空気より冷たいので、上昇してきた空気は下降します。
このように、上昇気流が発生したとしても、上昇してきた空気は下降していくため、雲が発達しにくい。つまり、天気が悪くなりにくい。
この絶対的な安定性をもつ大気の状態を絶対安定といいます。
絶対不安定:絶対的な不安定性をもつ
次に、上空に寒気が流入してしまい、地上と上空の気温差が大きくなった場合を想定。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は5℃なので、周りの空気より暖かい。暖かい空気は軽い。よって、上昇してきた空気はさらに上昇します。
湿潤断熱変化をした場合も同様です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらも周りの空気より暖かいので、上昇してきた空気はさらに上昇します。
このように、上昇気流が発生すると、上昇してきた空気はさらに上昇していくため、雲が発達します。つまり、天気が悪くなる。
この絶対的な不安定性をもつ大気の状態を絶対不安定といいます。
条件付き不安定:場合によっては不安定
それでは、そこそこ冷たい空気が上空に流入してきた場合を考えていきます。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は13℃なので、周りの空気より冷たい。冷たい空気は重い。よって、上昇してきた空気は下降します。
湿潤断熱変化をした場合が問題です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらは周りの空気より暖かいので、上昇してきた空気はさらに上昇します。
このように、上昇気流が発生すると、乾燥断熱変化であれば上昇してきた空気は下降するので大気は安定します。ですが、湿潤断熱変化であれば上昇してきた空気はさらに上昇するため大気は不安定になります。
安定か不安定かは場合による、このような大気の状態を条件付き不安定といいます。
詳しく掘り下げたい点
安定不安定の定義とその仕組みについてはとりあえず理解しました。
この3パターン(さらに細分化するなら6パターン)それぞれについて、実際の天気でいうとどういう日が当てはまるのか。
また、地上の空気が何らかの作用で上昇すると仮定して話を進めていましたが、「何らかの作用」とは何なのか。
その辺りを意識しながら今後の勉強に取り組んでいこうと思います。