湿球温位【気象予報士への道】
一昨日、昨日と、何に用いるのかわからないけれど、とりあえず定義は押さえておきたい専門用語たちと戯れてきました。そして、今日は温位シリーズ3つ目の湿球温位です。これが特にわからない。
温位:ある高さにある空気を1000hPaまで乾燥断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
相当温位:温位に、空気中に含まれる水蒸気がすべて凝結した時の凝結熱による気温の変化を加えたもの
湿球温位:空気が飽和している高さから1000hPaまで湿潤断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
乾燥断熱変化→湿潤断熱変化
もう見慣れてきましたこちらの図を使っていきます。
上空1000mにある空気の気温は20℃、地上にある空気の気温は25℃とします。
まずは、上空にある空気が飽和する高さまで乾燥断熱変化で降下。
上空500mの場所でこの空気が飽和すると仮定します。
上空1000mにある空気が上空500mまで乾燥断熱変化をした場合、
20[℃] + (500[m] / 100[m]) × 1[℃] = 25[℃]
よって、上空500mでは気温25℃になる。空気が飽和している上空500mから1000hPa(地上)まで湿潤断熱変化させると、
25[℃] + (500[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 27.5[℃]
27.5 + 273 = 300.5[K]
よって、上空にある空気の湿球温位は300.5Kであると求められました。
そして、この値の意味を考えていきたいのですが、さっぱりわかりません。おわり!
今後の学習に期待です。
相当温位【気象予報士への道】
昨日に引き続き、温位シリーズです。まずはおさらい。繰り返し大事。
温位:ある高さにある空気を1000hPaまで乾燥断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
相当温位:温位に、空気中に含まれる水蒸気がすべて凝結した時の凝結熱による気温の変化を加えたもの
湿球温位:空気が飽和している高さから1000hPaまで湿潤断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
そして、今日は相当温位です。
まずは温位を求める
まずは定義にならって、温位を求めます。
上空1000mにある空気が20℃、地上にある空気が25℃です。
上空1000mにある空気が地上へ下降すると、
20[℃] + (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 30[℃]
30 + 273 = 303[K]
よって、上空にある空気の温位は303K。
続いて、地上にある空気はすでに1000hPaなのでそのまま絶対温度に変換。
25 + 273 = 298[K]
よって、地上にある空気の温位は298K。
温位が大きいほど空気の気温が高いので、地上にある空気よりも上空にある空気の方が気温が高いことになります。つまり、このとき大気は安定しています。
水蒸気を凝結させる
さて、温位が求まりました。それでは、それぞれの空気に含まれている水蒸気がすべて凝結したとします。凝結するということは凝結熱が発生します。
熱力学第1法則 ΔQ = ΔW + ΔU より、空気が凝結熱(ΔQ)を受け取ると、空気は圧縮(ΔW)され、気温が上がります(ΔU)。
このときの空気の気温を絶対温度で表したものが相当温位というわけです。
しかし、水蒸気が凝結したことによって気温がどのくらい上がるのかわからないと相当温位は求められません。それを求めるための式がこちらです。
θe(相当温位) = θ(温位) + 2.8 × w(水蒸気の量)
この式から、水蒸気の量が多いほど、気温の上昇も大きいことがわかります。水蒸気の量が多いと凝結する水分子の数が多いので、凝結熱も大きくなることからも、このことが言えます。
それでは計算をしていきます。上空にある空気の水蒸気の量wが5とすると、
303 + (2.8 × 5) = 317[K]
よって、上空にある空気の相当温位は317Kです。
地上にある空気の水蒸気の量wが10とすると、
298 + (2.8 × 10) = 326[K]
よって、地上にある空気の相当温位は326Kです。
相当温位:大きいほどその空気は温暖多湿
先ほど述べたように、水蒸気の量が多いほど相当温位は大きくなります。つまり、湿度が高い。また、空気の気温が高いほど温位は大きくなりますので、相当温位も大きくなります。
ということは、相当温位が大きいほど、空気の
気温が高く、含まれている水蒸気の量も多い。上の計算でいうと、地上にある空気の方が温暖多湿ということになります。
専門用語と戯れる【気象予報士への道】
勉強あるある。
いきなり新しい用語が出てきて、定義が述べられて、原理などが説明される。理解はできる。けど、それを何に使うのかは説明されない。
しばらく経って、応用として位置づけられている内容を学んだ時に、その説明に用いられたり、問題の解法として登場したりして「ああ、なるほど」となる。
個人的には、一般に応用とされるものを学んでから、その説明に用いられる部品たちはこれらです。というパターンの方が好きですが、教材によってはそうもいかず。
今回も、例のごとく用語を先に学ぶパターンになってしまいました。どうにかして用語を自身に定着させていくために、用語の定義をアウトプットしていきます。
まずは用語のラインナップです。
温位:ある高さにある空気を1000hPaまで乾燥断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
相当温位:温位に、空気中に含まれる水蒸気がすべて凝結した時の凝結熱による気温の変化を加えたもの
湿球温位:空気が飽和している高さから1000hPaまで湿潤断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの
とりあえず、今回は温位について。
温位:大気の安定性を確認できる
以下、地上が1000hPaであると仮定して考えます。
上空1000mで20℃、地上で25℃である場合の温位を求めます。
上空1000mで20℃の空気を、1000hPaである地上まで乾燥断熱変化させ、絶対温度で表すと、
20[℃] + (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 30[℃]
30 + 273 = 303[K]
なので、上空1000mにある空気の温位は303Kです。地上にある空気は元々1000hPaの気温なので、
25 + 273 =298[K]
絶対温度で表して、地上にある空気の温位は298Kとなります。
これで、地上にある空気よりも上空にある空気の温位の方が大きいことがわかりました。
そして、温位というのは計算方法からわかる通り、その空気の温度によって決まります。空気の温度が高いほど温位も高くなるということです。
つまり、地上にある空気よりも上空にある空気の方が温位が高い=暖かい。これは、暖かい空気は軽いので、上に存在する、ということとも整合性が取れています。自然の摂理に適っているので大気の安定性は高いです。
大気の安定性を確認
それでは、本当に大気は安定しているのか確認します。地上にある空気が何らかの作用で上昇したと仮定すると、
乾燥断熱変化をした場合、
25[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 15[℃]
となり、周囲の空気よりも冷たくなります。冷たい空気は重い。そのため、上昇してきた空気は下降します。
湿潤断熱変化をした場合、
25[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 20[℃]
となり、周囲の空気と同じ気温になります。そのため、上昇してきた空気はその場に留まります。
どちらも場合においても、空気が上昇し続けるような状況にはならないことがわかりました。つまり、大気は安定しています。
温位は大気の安定性を手軽に知ることができるツール
上空の空気を断熱変化させた計算と、地上の空気を断熱変化させた計算の2つを行いましたが、結局やっていることは同じです。断熱変化をさせ、2つの空気が同じ高さになったところで、どちらの方が暖かいのか?と比べて大気の安定性を調べているだけでした。
温位というものは1000hPaという基準を設けて、空気の気温の比較をしやすくしてくれているようです。
さて、それでは最後にもう一度まとめます。
温位とは、ある高さにある空気を1000hPaまで乾燥断熱変化させたときの気温を絶対温度で表したもの。空気の気温に依る。温位を比べることで大気の安定性を知ることができる。
暖かい1日でした。【今日の天気】
全国的に高気圧に覆われ、南風が吹く暖かい1日になりました。
天気図を見て、気圧配置を確認してみます。
今日の12時の実況天気図です。
高気圧から時計回りに吹き出し、低気圧に向かって反時計回りに吹き込む。
に則って風の流れを描いてみるとこんな感じです。
この高気圧の中心は太平洋上にあり、南側の暖かい空気を日本全域に届けてくれています。
気圧の谷を見ます
ここで、北海道の北西側にある低気圧に注目してください。気圧の谷が確認できます。
このように風が集まってくるため、気圧の谷が通過前は南西(南より)の風が、通過後は北西(北より)の風が吹くでしょう。
気圧の谷では寒冷前線のように雨が降ったり、雷が発生したりすることも多いのですが、天気予報を見てみると今回のものは雨も雷もないようです。
一部の地域では雨の予報もありますが、寒冷前線の場合はもっと派手に雨や雷の予報が出されるのであまり警戒しなくてもよさそう。
一応気圧の谷の辺りで雲が発生してはいますが、積乱雲にまで発達せず、積雲程度に留まっているということでしょうか。地上と上空の気温差があまりないのかな?
気圧の谷が寒冷前線へ
と、書いている間に15時の実況天気図が更新されました。
気圧の谷が寒冷前線として描かれています。気象庁に寒冷前線認定されたということで、一応気を付けたいです。
とは言っても北海道、東北あたりを夜中に通過しそうなので、眠っている間に終わってますね…。
低気圧も発生
ちなみに触れてはいませんでしたが、12時の天気図で、南の方にある停滞前線のところに、15時の天気図では、低気圧が発生し、温暖前線と寒冷前線が描かれています。
12時時点の天気図でも、等圧線がだいぶうねっています。この時、こんな感じで風が吹いていたのかもしれないです。反時計回りに風が吹き込む形ができあがっていたのだと思います。
最初の画像では、太平洋の高気圧からの風はオレンジ色で、暖気として描きました。ですが、この画像では、さらに南側の暖かい空気が暖気で、太平洋の高気圧は北側になるので寒気として描いています。
明日10日9時の予想天気図を見てみると、この低気圧は二つ玉低気圧となり接近してきます。
現在の時点で広範囲にわたる雨雲が発生しており、明日も引き続き西日本を中心に雨をもたらす予報になっています。要注意。
*本記事に用いた天気図はすべて気象庁HPより引用
大気が不安定な状態ってどういうこと?【気象予報士への道】
「大気が不安定」というワードをよく耳にします。天気が悪くなりそうというイメージはあるけれど、定義は何なのか。そしてどういった仕組みで天気が悪くなるのか。
まだいまいちピンときていないですが、とりあえず学んだことを整理。
まず、安定・不安定にはいくつか種類があります。
絶対安定:2地点の気温差が湿潤断熱変化によるものより小さい状態
条件付き不安定:2地点の気温差が、乾燥断熱変化によるものよりは小さいが、湿潤断熱変化によるものよりは大きい状態
絶対不安定:2地点の気温差が乾燥断熱変化によるものより大きい状態
簡単に言うと、地上と上空の気温差が大きいほど不安定に近づいていくということです。一つひとつ具体的に考えていきましょう。
(湿潤断熱変化、乾燥断熱変化というのは空気が上昇・下降する際に起こる断熱変化のことです。詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。)
絶対安定:絶対的な安定性をもつ
まずは、地上と上空の気温差が小さい場合を想定します。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は18℃なので、周りの空気より冷たい。冷たい空気は重い。よって、上昇してきた空気は下降します。
湿潤断熱変化をした場合も同様です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらも周りの空気より冷たいので、上昇してきた空気は下降します。
このように、上昇気流が発生したとしても、上昇してきた空気は下降していくため、雲が発達しにくい。つまり、天気が悪くなりにくい。
この絶対的な安定性をもつ大気の状態を絶対安定といいます。
絶対不安定:絶対的な不安定性をもつ
次に、上空に寒気が流入してしまい、地上と上空の気温差が大きくなった場合を想定。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は5℃なので、周りの空気より暖かい。暖かい空気は軽い。よって、上昇してきた空気はさらに上昇します。
湿潤断熱変化をした場合も同様です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらも周りの空気より暖かいので、上昇してきた空気はさらに上昇します。
このように、上昇気流が発生すると、上昇してきた空気はさらに上昇していくため、雲が発達します。つまり、天気が悪くなる。
この絶対的な不安定性をもつ大気の状態を絶対不安定といいます。
条件付き不安定:場合によっては不安定
それでは、そこそこ冷たい空気が上空に流入してきた場合を考えていきます。
この時に上昇気流が発生すると、
乾燥断熱変化をした場合、地上で20℃の空気は上空では10℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 1[℃] = 10[℃]
すると、上空の空気は13℃なので、周りの空気より冷たい。冷たい空気は重い。よって、上昇してきた空気は下降します。
湿潤断熱変化をした場合が問題です。地上で20℃の空気は上空では15℃になります。
20[℃] - (1000[m] / 100[m]) × 0.5[℃] = 15[℃]
こちらは周りの空気より暖かいので、上昇してきた空気はさらに上昇します。
このように、上昇気流が発生すると、乾燥断熱変化であれば上昇してきた空気は下降するので大気は安定します。ですが、湿潤断熱変化であれば上昇してきた空気はさらに上昇するため大気は不安定になります。
安定か不安定かは場合による、このような大気の状態を条件付き不安定といいます。
詳しく掘り下げたい点
安定不安定の定義とその仕組みについてはとりあえず理解しました。
この3パターン(さらに細分化するなら6パターン)それぞれについて、実際の天気でいうとどういう日が当てはまるのか。
また、地上の空気が何らかの作用で上昇すると仮定して話を進めていましたが、「何らかの作用」とは何なのか。
その辺りを意識しながら今後の勉強に取り組んでいこうと思います。
【三重・津】地形から風を考える【北風】
引き続き、強い風(7m/s~)が吹きやすい風向を考えていきます。
今回は、時計回り順に西~東です。
西→(予想)◎ (実際)○
西北西→(予想)◎ (実際)◎
北西→(予想)○ (実際)◎
北北西→(予想)× (実際)△
北→(予想)○ (実際)△
北北東→(予想)○ (実際)△
北東→(予想)○ (実際)△
東北東→(予想)× (実際)△
東→(予想)◎ (実際)○
【季節を感じる】二十四節気 啓蟄
3月6日~20日 二十四節気第3・啓蟄(けいちつ)
暖かくなり始め、土の中の虫が地上に出てくる。
この時期に初雷(立春以降初めての雷)が鳴ることが多く、その音に驚いて虫たちが土の中から出てくることから、虫出しの雷ともいわれる。
虫たちが土の中から出てくるのは、地表面が0℃以下にならず、地面に霜が降りることがなくなってから。つまり、最低気温が5℃以上を超えてからになります。
2018年の気象データを見てみると、最低気温が5℃以下にならなくなったのは、
東京→3月23日~
福岡→3月24日~
大阪→3月25日~
広島→4月9日~
名古屋→4月10日~
前橋→4月10日~
金沢→4月11日~
秋田→4月15日~
新潟→4月18日~
仙台→4月18日~
札幌→4月29日~
函館→5月21日~
稚内→6月11日~
ざっとこんな感じです。概ね南から北の順に啓蟄の季節を迎えています。
桜前線と比べてみると面白そう。